木造住宅の危険性|シロアリ・倒壊・害虫リスクと解体の必要性【空き家対策】

皆さんこんにちは 長崎県佐世保市で建設業を営んでいる株式会社森組です。

築年数の経った木造住宅を放置すると、シロアリ被害や倒壊、害虫の繁殖など多くのリスクがあります。本記事では安全に管理・解体する方法と、空き家対策に関するポイントを詳しく解説します。

築年数が経った木造住宅を空き家のまま放置していませんか?

日本の木造住宅は、通気性が良く湿気を逃がす構造で私たちの気候に合った素晴らしい建築物です。しかし、誰も住まなくなってしまった家は一気に老朽化が進み、シロアリ被害・害虫の繁殖・倒壊の危険性を高めてしまいます。ここでは、木造住宅に潜むリスクと、放置による被害を防ぐためのポイントを分かりやすく解説します。

固定資産税の負担を軽減するためにも、解体のタイミングが大切です

古くなった建物をそのままにしていると、「いずれは解体したい」と思っていても、思わぬ負担が発生してしまうことがあります。その一つが固定資産税です。

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。たとえ「解体を予定している」「年明けに取り壊す予定がある」といった場合でも、名義が1月1日に変更されていなければ、その年の固定資産税は課税されるのが原則です。

しかし、自治体によっては、「解体届」を提出し、現地の確認で“居住や使用ができない状態”と判断された場合には、固定資産税が減免の対象となるケースもあります。つまり、「実際には住めない建物を所有しているのに税金がかかる」といった不公平を避けるための仕組みです。

ただし、この判断には役所による現地確認や手続きのタイミングが大きく関わってきます。

解体工事の時期が1月をまたぐ場合や所有権の変更を予定している場合などは、「いつまでに解体を済ませるべきか」「どんな書類が必要か」などを早めに確認しておくことが大切です。

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そんな方も、まずはお気軽にご連絡ください。

木造住宅に潜むシロアリ被害の危険性

木造住宅に潜むシロアリ被害の危険性にはいくつかありますが、ここでは3つご紹介します。

  • シロアリは木材を食べ、建物の基礎や柱を弱らせる
  • 気づかないうちに被害が拡大するケースが多い
  • シロアリによる劣化は耐震性を低下させ、倒壊リスクを高める

具体的な内容は下記の通りです。

1. シロアリは木材を食べ、建物の基礎や柱を弱らせる

シロアリは木材に含まれるセルロースを栄養源としており、柱や梁、土台、床下の木材を少しずつ食べ進めます。特に湿気がこもりやすい床下や浴室下、押入れの奥などはシロアリの格好の住処となりやすく、温度や湿度が一定に保たれた場所ほど被害は拡大しやすいです。木造住宅では建物の構造体の大部分が木材で作られているため、シロアリによる食害が進むと住宅全体の強度に大きな影響を与えます。初期段階では外観や室内の状態からは被害に気づきにくく、健康な住宅に見えてしまうため、知らないうちに被害が進行してしまうことが多いのです。

また、シロアリは湿度や木材の種類を選び、床下や基礎、柱の継ぎ目などの見えにくい部分から侵入する傾向があります。特に築年数の経過した住宅では、木材の劣化やひび割れがある箇所に侵入しやすく、食害の進行が早まります。このため、建物全体の耐久性や安全性がシロアリによって脅かされるリスクは無視できません。

2. 気づかないうちに被害が拡大するケースが多い

シロアリの被害は、初期段階では目に見えにくいことが特徴です。床の一部が沈む、ドアや窓の建て付けが悪くなる、床下からかすかな音や湿ったにおいがするなど、わずかな変化に気づくことが重要です。しかし、これらの症状に気づかず放置すると、土台や柱の主要部分まで食害が進み、住宅全体の構造安全性に大きな影響を与えます。特に空き家や長期間管理されていない住宅では、誰も気づかないうちに大規模な被害が発生しているケースも少なくありません。

3. シロアリによる劣化は耐震性を低下させ、倒壊リスクを高める

柱や梁、土台がシロアリに食害されることで、住宅全体の耐震性能が著しく低下します。特に築年数が経過した木造住宅では、経年劣化とシロアリ被害が重なり、地震や強風、台風などの自然災害時に倒壊リスクが高まります。倒壊事故が発生すると、建物の所有者だけでなく、周囲の住宅や通行人にまで被害が及ぶ可能性があります。

さらに、シロアリ被害が進んだ住宅は修繕コストも膨大になります。柱や梁、床下の木材を交換する大規模工事が必要となることもあり、場合によっては建て替えを検討せざるを得ないケースもあります。また、防蟻処理や湿気対策を怠ると、再発リスクも高まります。そのため、住宅の安全性を維持するためには、床下点検、防蟻処理、湿気管理、早期の被害発見が不可欠です。

老朽化による倒壊の危険

木造住宅に潜むのはシロアリだけではありません。老朽化による倒壊の危険もあります。

  • 木材は湿気や経年劣化に弱い
  • 空き家のまま放置されると倒壊リスクが高まる
  • 倒壊事故が起きた場合の責任と対策

具体的な内容は下記の通りです。

1. 木材は湿気や経年劣化に弱い

木造住宅は、日本の気候に適した住まいとして多く建てられてきました。しかし、木材は湿気や温度変化、長年の使用によって徐々に劣化します。特に雨漏りや結露、屋根や外壁からの浸水は木材を腐朽させ、柱や梁、土台の強度を低下させます。また、木材内部の乾燥やひび割れも進行し、構造全体の耐久性に悪影響を与えます。築年数が経過した住宅では、木材の劣化が見た目以上に進んでいることも少なくありません。湿気やカビ、シロアリ被害などが複合的に作用すると、木造住宅は非常に倒壊リスクの高い状態になってしまいます。

さらに、屋根や外壁の劣化により雨水が建物内部に入り込むと、木材の腐朽が加速します。特に空き家や管理されていない住宅では、換気や通風が不十分で湿度が高く保たれやすく、劣化が目に見えない部分で進行するのです。木材の劣化は、初期の段階では見た目に変化が現れないことが多いため、放置すると建物全体の安全性に深刻な影響を与えます。

2. 空き家のまま放置されると倒壊リスクが高まる

空き家は、居住者がいないため定期的な点検やメンテナンスが行われません。雨漏りや屋根の破損、外壁の亀裂、土台の腐朽など、老朽化による劣化が放置されると、台風や豪雨などの自然災害時に倒壊する危険性が非常に高くなります。特に築年数が長い木造住宅は、基礎のコンクリートや土台、柱や梁の強度が劣化しており、外部からの衝撃に耐えられないことがあります。

倒壊のリスクは住宅の内部構造だけでなく、屋根の重さや建物の傾きによっても増加します。屋根材の劣化や外壁の崩落、柱の傾きは、倒壊の前兆として現れることが多いです。これらのサインに気づかず放置すると、予期せぬタイミングで建物が崩れる可能性があります。また、倒壊は建物自体の損壊だけでなく、近隣住宅や道路を通行する人への被害にもつながります。

3. 倒壊事故が起きた場合の責任と対策

老朽化した木造住宅が倒壊した場合、所有者には民事上の損害賠償責任が発生することがあります。例えば、倒壊により隣家が損壊した場合や通行人が負傷した場合、所有者は損害を賠償する義務を負います。また、行政から特定空き家として指導や勧告を受けるケースもあり、改善されなければ強制的な解体費用を負担する可能性があります。

倒壊リスクを低減するためには、定期的な点検と適切なメンテナンスが欠かせません。具体的には、屋根や外壁の補修、柱や梁の強化、防腐・防蟻処理、床下や基礎の湿気対策などが挙げられます。さらに、老朽化が進み修繕費が高額になる場合や、長期間住む予定がない場合は、早めの解体工事を検討することも重要です。解体後は、更地として安全に管理できるだけでなく、駐車場や新築用地として有効活用することも可能です。

空き家や老朽化した木造住宅の倒壊は、住宅自体の問題だけでなく、周囲の安全や所有者の責任に直結する重大なリスクです。定期点検と早めの対応を心がけることで、倒壊事故を未然に防ぎ、住宅や土地の価値を守ることができます。

害虫の住みつき問題

木造住宅には、シロアリや老朽化以外にも害虫の住みつき問題があります。

  • 空き家は害虫にとって格好の環境
  • 近隣住民とのトラブルにつながる
  • 害虫被害を防ぐための対策

具体的な内容は下記の通りです。

1. 空き家は害虫にとって格好の環境

空き家や老朽化した木造住宅は、ゴキブリ、ネズミ、ハチ、シロアリなどの害虫にとって非常に住みやすい環境となります。食べ物の残りかすや湿気、木材の腐朽などが害虫の繁殖を促し、また人が定期的に掃除や点検をしないために隠れ場所が豊富に存在します。特に屋根裏や床下、壁の隙間などは、外部から侵入した害虫が巣を作るのに最適な場所です。

害虫が繁殖すると、建物自体への被害も発生します。例えばシロアリは木材を食べて建物の強度を低下させ、ネズミやゴキブリは配線や断熱材をかじることで構造物や設備にダメージを与えます。また、ハチの巣が作られると刺される危険も増え、住宅の安全性がさらに低下します。空き家は人が常駐していないため、これらの被害が進行しても気づかれにくく、問題が深刻化しやすいのです。

2. 近隣住民とのトラブルにつながる

害虫の繁殖は、住宅内に留まらず周囲の環境にも影響を与えます。例えばネズミやゴキブリは隣接する住宅に侵入することがあり、ハチやスズメバチの巣は庭や通路に危険を及ぼします。これにより、近隣住民とのトラブルに発展するケースも少なくありません。行政からの注意や指導を受けることもあり、管理責任を問われる可能性があります。

また、害虫の発生は衛生面の問題にも直結します。ネズミやゴキブリは病原菌を運ぶことがあり、接触や排泄物によって感染症のリスクを高めます。ハチやスズメバチに刺されることでアレルギー反応や救急搬送の必要性が生じることもあります。空き家の放置による害虫被害は、住宅所有者だけでなく、地域全体の安全や健康にも影響を及ぼすのです。

3. 害虫被害を防ぐための対策

害虫の住みつき問題を未然に防ぐためには、空き家の管理が不可欠です。まず、定期的な点検を行い、建物内部の清掃や換気を徹底することが重要です。特に水回りや床下、屋根裏の湿気やゴミの蓄積を防ぐことで、害虫の繁殖を抑えられます。

さらに、老朽化が進んでいる場合は、専門業者による防蟻・防鼠対策を行うことも有効です。木造住宅であればシロアリ防除、配線や断熱材の損傷を防ぐためのネズミ対策、ハチやスズメバチの巣除去など、適切な処置を行うことで被害を最小限に抑えられます。

住む予定がなく、老朽化や害虫リスクが高まっている場合は、早めの解体工事を検討することも選択肢の一つです。解体により住宅内の害虫の住処がなくなるだけでなく、更地として土地を安全に管理でき、駐車場や新築用地として有効活用することも可能です。

害虫被害は見えにくく、気づいたときには深刻な状況になっていることも多いです。空き家の管理や定期点検、防除措置を講じることで、住宅の安全性を保ち、近隣住民とのトラブルや衛生リスクを未然に防ぐことができます。所有者としての責任を果たすためにも、早めの対応が求められる問題です。

危険な木造住宅を放置しないために

木造住宅にはシロアリをはじめ、老朽化や害虫の問題がつきまといます。そんな危険な木造住宅を放置しないように持ち主である方は、対策が必要です。

1. 定期的な点検と修繕の重要性

老朽化した木造住宅は、放置することでシロアリや害虫の被害、木材の腐食、屋根や壁の損傷など、さまざまなリスクが積み重なります。これらの問題は目に見えにくく、発覚が遅れるほど被害が大きくなる傾向があります。被害を最小限に抑えるためには、定期的な住宅点検が不可欠です。特に床下、屋根裏、外壁、基礎部分のチェックが重要です。

点検時には、木材の腐食やシロアリの痕跡、配管や雨どいの劣化、屋根瓦のズレなど、住宅の寿命に直結する部分を重点的に確認します。問題が見つかった場合は、早めに修繕を行うことで、倒壊や害虫被害の進行を防げます。また、定期的なメンテナンスを行うことで、住宅の資産価値を維持することにもつながります。

2. 老朽化が進んだ場合の解体の検討

住宅を維持する費用や手間が負担となる場合、あるいは老朽化が進み安全性に不安がある場合は、早めの解体を検討することが賢明です。解体を行うことで、倒壊や害虫被害などのリスクを根本的に取り除くことができます。

解体を行う際は、信頼できる業者を選び、構造や材質に応じた安全な工法で作業を進めることが重要です。木造住宅の場合、廃材のリサイクルや処分方法も事前に確認しておくと、トラブルを防げます。また、解体後に土地を更地として管理することで、住宅として使用しない場合でも安全かつ衛生的な状態を保つことが可能です。

3. 解体後の有効活用とメリット

解体後の土地は、駐車場やガーデンスペース、新築用地など、さまざまな方法で有効活用できます。例えば、駐車場として貸し出すことで定期的な収入を得ることができ、土地の放置による荒廃や雑草の繁茂を防ぐことができます。

また、解体によって土地の状態が明確になるため、売却や賃貸の際に買い手にとって魅力的な条件を提示できます。新築住宅や商業施設を建てる予定がある場合も、更地の方が建築計画を立てやすく、土地の価値を最大限に活かせるでしょう。さらに、解体によって住宅内に潜む害虫やカビ、腐食部分もなくなるため、近隣住民への迷惑やトラブルも未然に防げます。

老朽化した木造住宅を放置すると、倒壊や害虫被害だけでなく、法的な責任や近隣トラブルのリスクも増大します。定期的な点検・修繕で安全性を維持すること、老朽化が進んだ場合は早めの解体を検討すること、解体後の土地を有効活用すること。この3つを組み合わせることで、住宅所有者としての責任を果たしつつ、安全で価値ある土地活用が可能となります。

まとめ

今回の記事では、老朽化した木造住宅を放置することによるリスクについて詳しく解説しました。シロアリ被害や害虫の繁殖、木材の腐食、倒壊の危険性など、放置することで思わぬトラブルが発生する可能性があります。また、定期的な点検や修繕の重要性、老朽化が進んだ場合の早めの解体、そして解体後の土地活用についてもご紹介しました。これらを実践することで、住宅所有者としての責任を果たしつつ、安全で価値ある土地利用が可能となります。

次回の記事では、空き家を更地にした際の固定資産税の仕組みや、住宅用地の特例による税金軽減(最大6分の1の軽減)について詳しく解説します。さらに、管理状態が悪く特定空き家に指定された場合には税制優遇がほとんど使えないことや、佐世保市で利用できる解体補助金制度、そして女性起業家向けのスタートアップ支援金など、土地活用と経済的メリットに関する具体的な情報を紹介したいと思います!