空き家を解体して更地にしたら固定資産税はどうなる?

皆さんこんにちは 長崎県佐世保市で建設業を営んでいる株式会社森組です。

近年、日本全国で「空き家問題」が深刻化しています。総務省の調査によると、全国の住宅のうち 約13.8%(7軒に1軒) が空き家とされています。特に地方都市では、親から相続した実家をそのまま放置してしまうケースが多く、

「住まないけど壊すのももったいない」

「税金は払ってるけど、使い道がなくて困っている」

という声が数多く聞かれます。空き家を放置することには、見た目以上に多くのリスクがあります。

  • 倒壊の危険性
  • 近隣からの苦情
  • 雑草や害虫の発生
  • 犯罪の温床化

そして、見逃せないのが 「固定資産税の増額リスク」 です。
この記事では、空き家を「そのまま」にしておく場合と、「解体して更地」にする場合で、固定資産税がどのように変わるのかをわかりやすく解説します。

さらに、佐世保市で実際に利用できる補助金制度やスタートアップ助成金についても詳しく紹介します。

固定資産税の基本をおさらい

まずは、「固定資産税とは何か」を簡単に整理しておきましょう。固定資産税とは、土地・建物・償却資産などの所有者に課される税金です。毎年1月1日時点の所有者に対して課税され、市町村が徴収を行います。

固定資産税は、以下の式で計算されます。

固定資産税額 = 課税標準額 × 税率(通常1.4%)

この「課税標準額」は、固定資産税評価額をもとに算定されます。つまり、評価額が高ければ高いほど、固定資産税も高くなるということです。

課税の仕組みと見直しサイクル

評価額は、国が定める「固定資産評価基準」に基づき、土地や建物の位置・面積・構造・築年数などをもとに市町村が決定します。この評価は 3年ごとに見直し(評価替え) が行われるため、新築やリフォームをした場合はもちろん、土地の価格変動によっても税額が変わることがあります。

また、都市部などでは固定資産税に加えて 都市計画税(上限0.3%) が課される場合もあります。
たとえば住宅地であれば、固定資産税1.4%+都市計画税0.3%=合計1.7%程度 が目安です。そのため、同じ評価額の土地でも、場所や用途地域によって実際の税負担は異なります。

評価額は、単に税金の基準となるだけでなく、不動産売買や相続の際の参考価格としても利用されます。固定資産税通知書に記載されている評価額を定期的に確認しておくことで、資産の現状や市場動向を把握する手がかりにもなります。

「特定空き家」に指定されると軽減措置は解除される

「税金が上がるから、解体はしないほうがいいかな…」そう思って空き家をそのままにしている方も多いかもしれません。

しかし、実は放置しすぎると「特定空き家」に指定され、結果的に同じように固定資産税が大幅に上がってしまうケースがあります。

「特定空き家」とは?

「特定空き家」とは、国の「空家等対策特別措置法」に基づいて、 危険や衛生面で問題がある空き家として市町村が指定するものです。

具体的には次のような状態が対象になります。

  • 倒壊の危険があるなど、著しく危険な状態
  • ゴミや雑草が放置され、衛生上問題がある状態
  • 外観がひどく劣化し、景観を損ねている状態
  • 管理が不十分で、周囲に悪影響を与えている状態

「見た目が悪い」「倒壊の恐れがある」だけでも指定される可能性があります。 「まだ住めるから大丈夫」と思って放置していると、知らないうちに特定空き家の対象になってしまうこともあります。

特定空き家に指定されるとどうなる?

特定空き家に指定されると、住宅用地の特例が解除されます。その結果、固定資産税が最大で6倍に上がることがあります。税負担が増えるだけでなく、行政から以下のような対応を受ける可能性もあります。

  1. 助言・指導
  2. 勧告(従わないと特例が外れる)
  3. 命令
  4. 行政代執行(強制的な撤去)

最終的に行政が強制的に撤去した場合、撤去費用は所有者に請求されることもあります。
実際、全国では行政代執行によって100万円〜300万円の費用を請求された事例もあります。

放置がもたらす“見えないリスク”

特定空き家に指定されると、税金が上がるだけではありません。土地や建物の資産価値そのものが下がるという深刻な影響もあります。不動産市場では、行政から「特定空き家」として記録されると、買い手がつきにくくなり、売却価格が大幅に下落する傾向があります。

さらに、倒壊や火災などの事故が発生した場合には、所有者として損害賠償責任を問われる可能性もあります。つまり、何もせずに放置していると、「税金」「撤去費用」「資産価値の低下」という三重苦を招き、最終的に一番コストがかかる結果になることもあるのです。

特定空き家になるのを防ぐには、次の3つのポイントを意識しておきましょう。

  1. 定期的に現地を確認し、雑草やゴミを処理する
  2. 破損箇所や老朽化した部分は早めに修繕する
  3. 行政からの通知や指導には必ず対応する

これらをしっかり行っていれば、住宅用地の特例を維持しながら、空き家を安全に管理することができます。

「住宅用地の特例」で固定資産税が6分の1に?

家が建っている土地には、「住宅用地の特例」という固定資産税の軽減制度があります。

これは、住居として使われている土地の税負担を大幅に減らす制度です。住宅を所有する人の生活を支えるために設けられた、とても重要な仕組みです。

住宅用地の特例では、土地の面積によって軽減割合が変わります。

  • 200㎡以下の部分(小規模住宅用地)
     → 課税標準額が 6分の1 に軽減されます。
  • 200㎡を超える部分(一般住宅用地)
     → 課税標準額が 3分の1 に軽減されます。

つまり、同じ広さの土地でも、「住宅が建っているかどうか」で固定資産税の金額が大きく変わります。

空き家でも軽減される場合がある

たとえ住んでいない空き家でも、住宅としての構造が残っている場合は、この特例が適用されます。逆に言えば、建物を完全に取り壊して更地にしてしまうと、軽減が受けられなくなるため、税額が数倍に跳ね上がることがあります。

固定資産税が高くなってしまう理由のひとつが、まさにこの「住宅用地の特例」が外れるケースなのです。なぜこのような制度があるのかというと、住宅用の土地は商業地や工業地と違って、利益を生むものではないからです。

住まいとして生活を支える土地にまで重い税負担をかけてしまうと、一般の家庭が土地を維持できなくなってしまいます。そのため、国は住宅所有者の負担を軽くする目的で、このような特例を設けています。

適用される建物の種類

この特例は戸建住宅だけでなく、アパートや二世帯住宅などにも適用されます。

ただし、建物が複数の住宅から成る場合には、各住宅の居住部分の面積に応じて軽減が分けて計算されます。

たとえば、アパートの1階と2階で世帯が異なる場合、それぞれの住居面積に応じて特例が適用される仕組みです。

「住宅用地の特例」を受けるには、住宅として機能していることが条件です。
次のような場合には、市町村の判断で特例が外れることがあります。

  • 屋根が崩れている
  • 建物内部が著しく損壊している
  • 住める状態にないと判断された場合

特例が外れると、翌年度から固定資産税が約6倍に増えることもあります。このように、「住宅用地の特例」は非常にありがたい制度である一方で、建物の状態や管理状況によっては適用除外となるリスクもあるため、注意が必要です。

空き家を解体して更地にしたらどうなる?

老朽化した空き家を「思い切って解体してしまおう」と考える方も多いでしょう。しかし、実はその判断が固定資産税の大幅な増加につながるケースがあります。

結論から言うと、住宅用地の特例が使えなくなり、固定資産税が最大6倍に増える可能性があります。建物を解体することで土地が「住宅用地」ではなく「非住宅用地」として扱われるようになるからです。

固定資産税の変化 ― 具体例で比較

たとえば、評価額が1,000万円の土地を想定してみましょう。

住宅が建っている場合

  • 課税標準:1,000万円 × 1/6 = 約166万円
  • 固定資産税:166万円 × 1.4% = 約2万3,000円

更地にした場合

  • 課税標準:1,000万円
  • 固定資産税:1,000万円 × 1.4% = 約14万円

このように、建物があるかどうかだけで、税額が上がる可能性があります。住宅用地の特例の恩恵がどれほど大きいかが分かりますね。

解体の判断で見落としがちなポイント

税金の増加以外にも、解体にはさまざまなコストが伴います。
まず、解体工事自体の費用です。木造住宅で30坪規模の場合は約200万円前後、鉄筋コンクリート造だと350万円を超えることもあります。

さらに、解体後の土地の使い方によっても、税負担や今後の資産価値は大きく変わります。

たとえば…

  • 駐車場にする場合 → 事業用地とみなされ、固定資産税の軽減が受けられない場合があります。
  • 新しい住宅を建てる予定がある場合 → 一時的に税負担が増えても、将来的に資産価値が向上する可能性があります。
  • 売却を考えている場合 → 建物付きよりも更地の方が買い手が見つかりやすいケースもあります。

このように、単に「古い家を壊すかどうか」ではなく、今後の活用計画を含めて総合的に判断することが大切です。

佐世保市の「空き家解体補助金制度」

空き家の解体には、建物の規模や構造によって数十万円〜数百万円と、決して小さくない費用がかかります。そのため、「費用の負担が大きくて、なかなか解体に踏み切れない…」という方も少なくありません。

こうした所有者の経済的負担を軽減するために、佐世保市では「空き家解体補助金制度」を設けています。

空き家解体補助金の概要

佐世保市内に空き家を所有している個人の方が対象です。 (法人が所有する場合は対象外となるケースがあります)

対象となる建物

以下のような建物が補助の対象になります。

  • 老朽化が進み、倒壊の危険がある住宅
  • 特定空き家に該当、またはそのおそれがある建物

また、「居住していない」ことを証明する書類(住民票や公共料金の停止証明など)の提出を求められることもあります。

補助の内容

解体工事にかかる費用の一部を市が負担します。

おおむね、

  • 工事費用の約 1/3程度を補助
  • 上限額は 30万円〜50万円程度

とされるケースが多いです。 (年度によって金額が変わることがあります)

申請の手続き

補助を受けるには、着工前の申請が必須です。解体後に申請しても補助を受けられないため、注意が必要です。

申請時には、以下のような書類を提出します。

  • 解体工事の見積書
  • 登記事項証明書
  • 現地写真 など

なお、年度ごとに予算や受付期間、補助率、上限額が変更される場合があります。申請を検討する際は、必ず佐世保市役所 建築指導課などの担当窓口で最新情報を確認しておきましょう。

補助金をうまく活用することで、老朽化した空き家を安全かつ経済的に整理することができます。

佐世保市「スタートアップ助成金」で“空き家再生”という選択も

空き家の活用方法は「解体」だけではありません。実は、空き家を活かして新しい事業を始めるという選択もあります。

佐世保市では、地域の活性化を目的に「スタートアップ助成金」という制度を設けています。

この制度は、佐世保市内で新たに起業・創業する人を対象に、事業にかかる費用の一部を補助するものです。

特に、空き家をリノベーションして

  • カフェ
  • サロン
  • ゲストハウス
    などを開業する場合には、対象となるケースが多く見られます。

助成金の内容(一例)

  • 対象経費:改修費、備品購入費、広告宣伝費など
  • 補助率:1/2以内(上限あり)
  • 対象者:市内で起業・創業する個人または法人

このように、「壊す」だけでなく「活かす」ことで、空き家が地域に新しい価値を生み出す場所へと生まれ変わる可能性もあるのです。

空き家を「壊すか」「残すか」判断のポイント

空き家の扱いに悩んでいる方は、次のポイントを目安にしてみましょう。

壊したほうがいいケース

  • 建物が老朽化していて倒壊の危険がある
  • 「特定空き家」に指定されるおそれがある
  • 管理や清掃が難しくなっている
  • 売却を考えていて、更地のほうが売りやすい

残して活用したほうがいいケース

  • 改修すれば再び住める状態にある
  • 賃貸住宅や店舗などに転用できる
  • 将来的に家族や子どもが利用する予定がある

どちらを選ぶ場合でも、「建物の現状」・「固定資産税の見通し」・「利用できる補助金」を総合的に考えることが大切です。

まとめ:放置せず、前向きに「空き家」と向き合う時代へ

空き家は、放置しておくと固定資産税の優遇がなくなるだけでなく、「特定空き家」に指定され、修繕命令や強制撤去のリスクまで発生します。

一方で、佐世保市には空き家解体補助金やスタートアップ助成金など、所有者の負担を軽減するための制度が整っています。

「税金が上がるから壊さない」ではなく、「どうすれば賢く活用できるか」を考えることが大切です。空き家は、管理と工夫次第で“地域資源”にもなります。放置せず、今のうちにできる対策を進めていきましょう。

※制度や補助金の内容は変更される場合がありますので、詳細は必ず佐世保市の公式サイトまたは窓口でご確認ください。