解体工事とアスベスト(石綿)の関係性とは?〜安全・安心な解体工事のために〜

皆さんこんにちは 長崎県佐世保市で建設業を営んでいる株式会社森組です。

『アスベストがどこに使われているか、どうやってわかるの?』
『アスベストって、そもそも何が危険なの?』
『もし含まれていたら、どうやって安全に取り除くの?』

日本各地で進む空き家の解体や老朽化した建物の取り壊し。
その裏側には、私たちが見過ごしがちな大きな課題があります。それが「アスベスト(石綿)」です。

かつては“奇跡の建材”として重宝され、ビルや住宅、学校にまで広く使われてきたアスベスト。しかし、その微細な繊維は長い年月を経て健康被害を引き起こす可能性があり、今では「沈黙の時限爆弾」とも呼ばれています。

本記事では、アスベストがなぜ危険なのか、どのように調査・除去されるのか、そして森組が行っている安全・確実な対策について、わかりやすく解説します。

アスベストとは?かつての“万能素材”の正体

アスベスト(石綿)とは、天然に産出する鉱物繊維の総称で、非常に細かく、そして軽い繊維状の形をしています。その特徴は、耐熱性・耐久性・断熱性・防音性に優れていることです。

腐らず、薬品にも強く、しかも安価で手に入るという、まさに“夢の建材”であったことから、1970年代から80年代にかけて、日本全国でアスベストは多方面に利用されました。

建築分野では、天井や柱に吹き付けて耐火・断熱を施す吹付け材や、壁材・天井材として用いられる建材ボード、配管の断熱材などが代表的な用途です。

さらに、産業や日常生活にも広がり、自動車のブレーキパッドやクラッチ、耐熱手袋などの衣類にも使用されました。その使用量はピークを迎えた1974年には年間35万トンを超え、日本の建築や産業を支える“万能素材”として欠かせない存在だったのです。

なぜアスベストが問題視されているのか?

アスベストが問題視される最大の理由は、吸い込むことで人体に重大な健康被害をもたらす危険があることです。

アスベストの繊維は非常に細かく、作業中などに空気中へ舞い上がりやすい性質を持っています。一度吸い込まれると肺の奥深くまで入り込み、長い潜伏期間を経て病気を引き起こすことがあります。

代表的なものには、肺が繊維化して呼吸が苦しくなる石綿肺、肺や腹膜に発生する中皮腫、さらに肺がんや喉頭がんなどがあり、これらは吸入から20年から40年という長い年月を経て発症することが少なくありません。

そのため「サイレントキラー」と呼ばれ、特に中皮腫はアスベストとの因果関係が強く、一般的ながんとは異なる進行を示すうえ治療も難しい病気として知られています。

アスベストの取り扱い

アスベストの危険性に「これ以上なら安全」という明確な基準がありません。ごくわずかな量であっても、体質や年齢によっては重篤な健康被害を受ける可能性があるため、「少しだから大丈夫」という考えは通用しません。

現在では「取り扱いに最も注意が必要な有害物質」の一つとして取り扱いには常に最大限の注意が必要です。

天井材や壁材、塗料、断熱材などに紛れて使われていることが多く、建物の解体や改修の際に初めて飛散するケースも少なくありません。もし事前調査をせずに作業を進めてしまえば、作業者はもちろん、周囲の住民にまで健康被害を及ぼす恐れがあります。

こうした背景から、日本では2006年にアスベストの製造・使用が原則禁止され、その後も解体や改修工事に関する規制は強化されてきました。現在では、解体前に必ずアスベストの有無を調査・分析することが法律で義務付けられ、結果に応じて適切な除去や飛散防止の措置を取らなければなりません。

つまり、アスベストは「昔の問題」ではなく、今もなお私たちが向き合い続けなければならない“現在進行形のリスク”なのです。

古い建物にはアスベストが含まれている可能性がある

昭和30年代から平成初期にかけて建てられた建物には、今もなおアスベストを含む建材が残っている可能性があります。

当時は法規制が整っておらず、建材メーカーも積極的にアスベストを使用していたため、ビルや団地、工場、学校といった鉄筋コンクリート造の建物はもちろん、一般住宅にも広く使われていました。

アスベストは見た目では含有の有無を判断できず、建材の一部に混入していることも多いため、「古い建物=アスベストが含まれている可能性がある」と考えるのが基本です。

しかも、その使用場所は外から見える部分に限りません。天井裏や壁の内部、配管の周囲など、普段目にすることのない場所にも使われていることがあり、もし知らずに解体作業を始めれば、アスベストが飛散してしまう危険があります。

こうした見えないリスクを避けるためには、建物を解体する前に必ず専門的なアスベスト調査を行うことが重要です。特に昭和から平成初期の建物では、建築当時の図面や仕様書をもとに、どの部分の建材にどれほど含まれているのかを事前にしっかり確認し、安全な作業計画を立てることが欠かせません。

解体工事に必要なアスベスト事前調査とは?

2022年4月から、建物を解体する際には「アスベスト事前調査」が法律で義務付けられました(石綿障害予防規則の改正による)。この調査では、建物のどの部分にどの程度アスベストが使用されているのかを、国の定める資格を持った調査者が確認します。

調査は、設計図や竣工年といった資料を確認することから始まり、現地での目視確認や材料の種類の確認、必要に応じたサンプル採取と分析検査などを経て進められます。その結果、アスベストが0.1%を超えて含まれている建材が見つかった場合は、厳格な飛散防止措置や専門業者による除去が必要です。

2022年以降は、調査結果を「石綿事前調査結果報告システム」を使ってオンラインで国(厚生労働省)へ報告することも義務化されました。報告を怠ったり虚偽の内容を提出した場合には、罰則が科される可能性があります。

調査を担当できるのは「一般建築物石綿含有建材調査者」といった専門資格を持つ人に限られ、図面がない場合でも現場の状況から正確に判断できるスキルが求められます。

つまり、アスベスト事前調査は単なる形式的な手続きではなく、安全な解体のために欠かせない重要な工程なのです。

アスベスト除去には専門資格と厳格な作業基準が必要

アスベストの除去や運搬には、現場を監督する「石綿作業主任者」、事前調査を行う「一般建築物石綿含有建材調査者」など、国が定めた資格者が関わらなければなりません。

除去作業では、粉じんが周囲に漏れないよう現場を密閉し、養生シートで囲う「隔離措置」が行われます。さらに、作業員は防護服や専用マスクを着用し、飛散防止のために建材を湿らせながら作業を進めます。

発生したアスベストは厳重に梱包され、指定された処理施設へ運搬・処分されます。この一連の工程は、細かなマニュアルと法令に基づいて実施されるため、無資格者や経験不足の業者による作業は法律違反となるだけでなく、重大な健康被害を引き起こす危険があります。

実際、過去には無資格者が行った不適切な除去作業で、周辺住民にまで健康被害が及んだ事例も報告されています。

そのため、アスベスト工事は必ず有資格者が在籍する信頼できる業者に依頼することが不可欠です。安全を守るためには、適切な資格と経験を持つプロの手による確実な対応が求められるのです。

株式会社森組にはアスベスト対応の有資格者が多数在籍

弊社では、解体工事において安全性と法令遵守を最優先に考え、「アスベスト調査」の資格を持つ専門スタッフが複数名在籍しています。

石綿作業主任者

アスベストを含む建材を実際に取り外す作業の現場を指揮・監督する資格です。作業中の安全管理や、粉じんが周囲に飛び散らないための対策を確実に行います。

一般建築物石綿含有建材調査者

建物にアスベストが使われているかどうかを調べる専門家です。目視や図面の確認、必要に応じてサンプルを採取して分析し、安全かどうかを判断します。

正確な事前調査から報告書の作成、国への電子届出まで、すべてを自社で完結できます。必要に応じて除去作業の手配や現場管理も行い、近隣への説明や飛散防止措置といった安全対策も徹底しています。

お客様が複数の業者に依頼を分ける手間や、工事の負担を大幅に軽減できる体制が整っています。

弊社が大切にしているのは、資格だけではなく、現場経験に基づく確かな判断力です。図面がない建物や老朽化によって構造が分かりにくい建物でも、経験豊富なスタッフが正確に状況を把握し、最適な対応を行います。

地域密着の強みと安心のサポート体制

佐世保市・西海市・波佐見町を中心に、地域密着型で多くの解体工事を手がけてきました。地元の行政制度や補助金申請の流れにも精通しており、「補助金を利用したいけど、どこに相談すればいいかわからない」「必要な書類が分からない」といった声にも、親切かつ丁寧に対応します。

「解体=ただ壊す」とは考えていません。「次の未来のための準備」という想いで、安全・安心・信頼を第一に、地域の方が安心して再出発できる土地づくりに貢献しています。

「地元で信頼できる業者に任せたい」「何から始めればよいのか分からないからまず相談したい」という場合も、資格・実績・人柄のすべてでお客様に寄り添います。

アスベスト除去にかかる費用と給付金制度について

アスベストの除去には、通常の解体工事に比べて手間や費用がかかります。具体的には、アスベストの事前調査や分析費用、飛散防止のための養生や封じ込め作業、有資格者による安全な除去作業、そしてアスベスト廃棄物の特別管理が必要な処理費用などが発生します。

これらの費用をすべて自己負担するのは大変ですが、多くの自治体ではアスベスト除去にかかる費用の一部を補助する給付金制度を設けています。

補助金制度の一例(長崎県・佐世保市):アスベスト改修支援事業

>>佐世保市民間建築物吹付けアスベスト改修支援事業についてはこちら

※現在は、補助の受付は終了しました。最新の情報については各自ご確認ください。

制度内容は年度によって変わるため、申請前に自治体へ最新の情報を確認することが大切です。

アスベストの調査や除去だけでなく、補助金申請に関わる書類作成や申請の流れについてもサポートしています。補助金が対象になるかどうかわからない場合や、申請方法に不安がある場合も、お気軽にご相談ください。

まとめ:古い建物の解体は“アスベスト調査から”

平成初期以前に建てられた建物の多くにはアスベストが含まれている可能性があり、解体時には国の法律で事前調査が義務付けられています。

解体工事は「ただ壊す作業」ではなく、「新しいまちづくりの第一歩」です。しかしその裏には、目に見えない危険や複雑な法的手続きが潜んでいます。だからこそ、正しい知識と確かな技術、そして地域からの信頼が不可欠です。

古い家を解体したいけれどアスベストが心配な方、建物の築年が古くて不安な方も、まずはお気軽にご相談ください。地域と未来をつなぐ安全な解体工事を、私たちが全力でサポートいたします。